バスの車窓から
バスに乗れば、窓の外を流れていくその土地ならではの風景を眺めながら、バス停をめぐって自分が選んだ場所へ行くことができる。たとえばターミナルを旋回して街を駆け巡るバスで買い物へ行ったとする。その時車窓からは、美しい街路樹やビルの群れ、人々でにぎわう店の連なりを見ることができるかも知れない。
離島と離島とが集まって生まれ、またその島々が「ゆめしま海道」で結ばれた町・愛媛県越智郡上島町の町有バスには、2021年12月現在、全長515mの「生名橋」および全長980mの「弓削大橋」を経由し、弓削島最北端のバス停「久司浦」と生名島の「立石港務所」を結ぶ12.7kmの幹線ルートと、弓削島、生名島の各島内を巡回する2つの支線ルートが存在する(弓削島は予約制)。
そしてその路線は2022年3月、生名島と岩城島を結ぶ「岩城橋」の開通を機に、これまでのルートを残しながら、岩城島島内を走る支線ルート、および、全長1.1kmの岩城橋を経由し立石港と岩城島の「岩城港」を結ぶ13.8kmのルート、そして、同じ岩城橋を経由し岩城港から弓削島の港「弓削港」を結ぶ16.95kmの町内最長ルートという3つのルートを新たに加え、3つの斜張橋を渡り4つの島を巡る路線バスとして生まれ変わる。
バス停をたどりながらこの町ならではの風景を見つめたくて、立石港務所発久司浦行の幹線ルートの始発、「立石港務所」へ向かった。