御旅所の傍らにたたずむ
弓削島の各所に「
神事を待つ間、神輿やだんじりのかつぎ手たちや、大人たちにかつがれて進むだんじりの上で古くから伝えられてきた歌を歌いながら太鼓を叩く「乗り子」と呼ばれる子どもたちには、飲み物や食べ物が振舞われる。つまり御旅所は、この後数時間続く祭りの中で、束の間の休息が取られる場でもあるのだ。
下弓削地区にある町役場から海を背にして、かつては商店街の目抜き通りだったという路地を奥へと歩き小さな十字路まで出たら左に折れると、三角形の空き地に着く。それが下弓削地区の御旅所だ。
その三角形のちょうど頂点に当たる場所に立った時、右手に「弓削の宿」と木で彫られた大きな看板があることに気づくだろう。弓削島に暮らす書家に書いてもらった宿の名を掘り込んで手作りしたのだと、宿のオーナーの川畑良文さん(54)、奥さんのちや子さん(53)が教えてくれた。